2026-01-26

リバー、流れないでよ

 この記事はnoteの転記です

ちょっと周りで一時期話題になっていたのでずっと気になっていたため、アマプラで視聴
かつ興味があったので同時視聴もしてみました、が「見れる媒体に加入している」という条件が前提にあるのでやっぱりむずかしいね、という気持ちです。

感想
やりたいことやったもんがち欲張りビュッフェ!!!!みたいな映画だな!と思いました。
 貴船で2分のループを繰り返す上に登場人物がみんなループを認識している
 (主人公だけが自覚しておりほかはループに気づいていない、などではない)
ということだけは流石に知っていたんですが、他の情報は皆無でして……
ループものなのだからSFジャンルではあるよな、全員認識の2分ループはギャグでもあるか…くらいは思っていたんですが
蓋を開けたらラブコメあり、サスペンスありで、やりたいな!と思いつくジャンルをできる限りぶち込みました!!!!!!

という圧を感じました。
ただ、そんなことをしているのに、とっちらかっているという感覚はなく、最終的に綺麗にまとまっていると感じられることがすごいな、という気持ち。

ギャグの部分
期待通り、と言ったところ。映画のトレーラーもピックアップしている部分はここでしたからね。
ちょっと動いても少しすると2分前の場所(初期位置)に戻り不審に思う中居のミコト。
利用客になんとかしてよ、と言われても当たり前だけど困ってしまう従業員。
なんとか解決したい従業員を尻目に「もうすこしここでゆっくりしようよ~」とかいい出す作家…。
片付けてももとに戻る部屋、温めても鍋に冷えたまま戻る熱燗
食べても一向になくならない雑炊、書いても進まない原稿……
ループ前に横暴にも利用時間前に無理を言って露天風呂を使った客は一人初期位置が遠いのでシャンプーも流せず裸にタオルのまま廊下を走ってくる…。

見ていてずっとゲラゲラだった。
地下で休憩していたので2分経って初期位置に戻るたび階段を駆け上がり客に説明をしているうちに2分経ち、再び説明に向かい…を2~3回繰り返してやっと理解いただけたら今度は違う客にそれを繰り返し…それが終わった頃に今度は従業員同士の会議のために別館に行き……。
大変すぎる~~~!!!!!!
「もとに戻る」のでその労働の疲労も(作品内では)ないみたいだけども、撮影時役者のみなさんはマジで大変だったろうな~…。

見ながら、利用客の皆さんはそんなにも(従業員から説明されないと)飲み込めないもの?というのがずっと不思議だったけれども、酒を飲んでいた〆だったり、原稿中でまいっていたりしている人々だったし、初期状態が冷静じゃなかったんだろうな…。
実際自分の身に2分ごとに状況が巻き戻るなんて現象起きたら10ループくらいはしてくれないと飲み込めないだろうし…。
従業員のみなさんの理解が異様には早かったんだろう…。
アルコールが入っていなくて、同じ状況が自分以外にもいる確認ができる、という状況はとても強い。

ラブコメの部分
最初のシーンで休憩に入った調理場見習い(?)タクが、ず~~~~っと出てこないけど寝てるから全然気づかないんだろうな…と思ったら案の定、何ループしたとおもってるの?!という状況で部屋から出てきたわけですけど、ここからラブコメの発生。
貴船を出てフランス料理を学びたい彼と、彼のことが好きなのでずっと一緒にいたいと思っていたミコト。
時が止まればいいのに、と思いながら川を眺めていたらこの現象が始まってしまった…という衝撃の事実。
このままずっとこの2分のなかで満足いくまで喋ってすっと一緒にいようよ!とかいうとんでも思考を口にするミコトに全然「重~~こわ~~~迷惑~~~~~~~」とドン引きする僕。

彼女が原因と知られたら周りにどう責められるかわからないから逃げちゃおう!となって二人で裏口から逃げたり・隠れたり・車を盗んだり…やりたい放題である。
2分でもとに戻るからってなんでもしていいってもんじゃねぇ。楽しそうで良かったね(全然よくない)

相談もしないで一人で全部決めちゃって、話してほしかったよ!という思考は理解るんですけども。
なので、一旦満足行くまで話し合おうよ、というのは理解できる。
ここまで強硬手段に出なければ時間も取れず、取れたとしても相手を捕まえて話し合う場を設けることはできなかった、くらいに彼も頑なだったのかも知れませんからね。
ミコトに相談してどうなると思ってたんだよ、とは思いますけど。
会話を聞いているに『好意を寄せていた』ものの『明確に付き合っていた』わけでもなさそうでしたし…。
料理長にすら相談していないモノを一介の小娘に相談して何になるのか…。
この瞬間、もう全然、こいつらとっとと痛い目見ろ、早くやめろその意味わからん逃避行ごっこ、と全然不機嫌になっていました。

そう、なお僕は恋愛描写が入るとどんな作品でも一気に見ていて醒めてしまうので…。
念の為お断りをすると、このシーンがつまらなかった、ということではなく。
ここはここで面白かったのですが、僕がそのような展開を好まないタイプであった…というだけです。あしからず。

サスペンスの部分
そんな逃避行ごっこの最中、山に入っていた猟友会?の人が旅館の裏手に出てくる。
この2分の繰り返しを試行錯誤し続けた結果何ループしたのかもわからないけれどやっと人に会えた、という状況だったのだと思う。
同じ状況が自分以外にもいる確認ができる、という状況はとても強い。
反対に、そんな相手もいない中、山とかいう自然の中、理由もわからず誰にも状況を聞けずという状況を一人で過ごしていた彼と、
比較的状況の把握できている中逃避行ごっこたのし~~~wwwみたいな状況の二人が出会った時の現在の経験に対する体感温度差がとてもエグい。
結構深刻な顔で「天狗に化かされてるのかと…」と言う猟師に「はい、馬鹿されてます、ていうか私天狗ですw」と返す彼女。
そのときの猟師の方の顔のなんとも言えなさが本当にすごかった。
見ていて痛ましすぎて「真摯に説明してやれ…!!!」と心から説教をしたくなった。

直後、初期位置に戻った瞬間に響く銃声。サスペンスの始まりである。
それはそう、思い詰めてやっと人に会えて説明してもらえると思ったらひどい冗談で返されたわけですから、死にたくもなる。

ループの始まった当初は「お客様に迷惑をかけてるしなんとかしなきゃかな…」だったのに、「彼とずっとはしゃげるならいっか~ww」みたいな空気だったミコトが、事のヤバさを自覚した瞬間に近くで再び鈍い音がして、振り返ると作家が利用していた部屋から飛び降り自殺をしていた。

浮かれた空気って取り返しのつかない状況にならないと醒めないとはいえ、2名も死人がでたことで、やっと真にこの状況をなんとかしなきゃ、という空気感になる。
起承転結の転としてはものすごい温度差で急降下していく転である。
散々ふわふわに楽しんでぼかしていた作品の空気が一気に軌道修正されて引き締まる感じでとても良かった。

まぁ、2分経てばもとにもどるサスペンスなんですけどね!
初期位置に戻った瞬間猟友会の人の携帯に電話して状況説明。
作家は「どうせ戻るから体験として死んでみたかっただけだよ~」と朗らかで引き締めすぎた空気を緩めるのも実にうまいな、と思ってしまった。

それに、どうせ戻れるなら体験としてやってみたい行為に「死」があるのは、非常によくわかってしまうな…。
危険性のない臨死体験ですからね。

そして結末へ(ドネタバレ部分)

ミコトの時が止まればいいのにという思いが原因だから、という自白から、彼女にもう一度川に祈らせるも何も状況が戻らないのを見て
「実は事業が行き詰まってて久々にゆっくりできたここで帰りたくないと思ってしまった」
「締切がしんどくて時間がすすんでほしくなかった」
と口々に自分も時が止まればいいと思った一人だ、と自白し始める面々。
偶然同じことを思ってしまった人々が集まったことによる集合意識の技なのか……。と思った最中

<ここからドネタバレ>
タイムパトロールが来ていたがタイムマシンがエンストして周囲一帯にのみ2分ループを繰り返させていたとかいう超絶トンデモ展開だったことが発覚する。
<ここまでドネタバレ>

悔しいな~と思ったのが、序盤で貴船神社にお参りをしていた女性が、中盤で料亭に「エンストしちゃって…」と訪ねに来るシーンがあったんですが、そのときに彼女のブーツに異質さを感じて。
日常には溶け込まない、2.5次元舞台の少し奇抜衣装、のような様相であるな、と感じていて。
とはいえ、登場人物の過半数が料亭の和服であるからそこに突然の洋風がきて浮いてるのかな、とスルーしてしまっておりまして。
最後蓋を開けたら「未来から来ていた人」だった、というオチに
『だからちょっと服が浮いてたんだーー!!!!!!!あの時の違和感をもっと大事にしてよかったんだ!!!!!』
になっていました。
アウターのポンチョがあくまでも『現代風』なのでぱっと見は馴染んでいるものの、裾から見える袖口がクリア素材であったり、よくよく見るとこの女性の服、めちゃめちゃ変!!!!!映画のド冒頭から出てきてるのに!!悔しい!!

終幕
なんやかんやあって、未来人ヒサメはもとの時空に戻り、2分のループは終わったのであった。

あとに残ったのはループ前にはなにかしらわだかまりを抱えていたのにそれらがすべて消化された貴船の人たち。

タクとミコトは話し合いができたし(なんなら料理長は察していた)。
友人同士で利用していた二人はお互いの長年のわだかまりを腹を割って話し合い仲が深まったし。
作家先生は臨死体験で詰まっていた創作が進んだし。
帰路で事故っていた客はループ中に運転に慣れて無事故で帰宅できたし。
別の旅館で気に入らないやつを刺しちゃった人(…)も、きっと何かしら解決したんでしょう。

ループの間に知人に電話しまくって推しのチケットを譲ってもらった人までいたし。
………最後の人だけ心配なんだけど
その譲渡は一番最後のループのときに譲渡確定したんだよね?
貴船内以外はループはしていなくて、貴船だけが何回も世界線跳躍をしていた、という状況だったって解釈しているので、チケット譲ってくれた人が貴船外の人だったらもしかしたら最後に着地した世界線と譲渡確定した世界線が別になってる可能性は…ないか…?

鑑了後感としては、こんなにやりたい放題なのに最後イイハナシダナーでとっちらからずに綺麗に終われて何も引きずらない感覚を抱けているのは本当にすごいと思う。
さっくりと見れる(90分)という意味でも確かにおすすめしやすい作品なんだな、という感じがしました。

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