2026-05-04

魔女の家(本)

有名なツクール制ホラゲ、のゲーム作者による前日譚に位置するノベライズ。
『有名な』とかいたものの、こういうものに疎いので昨年マシュマロでお勧めのゲームとして紹介されるまで一切知らリませんでした。
今回配信で遊ぶにあたって調べていたらまぁ錚々たるメンツの実況アーカイブが目に入りいかに視野がせまかったを自覚したわけですが…。

ということで4月29日に遊び、ノーマル・トゥルーENDを見届けた(ノーセーブで見られる展開は自力では無理そうだったので人様の動画で拝見しました)ので本の方も読もう!となったわけです。
ちなみに映画の感想はこちら→魔女の家
また、この記事はnoteの転記です

ちなみに当記事全然ネタバレを含みます。

前置き
感想と銘打っておいて最初に描くのがこれなんですけど、横書きでびっくりした。
Kindleで読んでいたのですが、電子書籍を左から右に読み勧めたことが過去一度もなかった。
ので普通に操作に慣れるまでが大変だった…笑

感想文
ノーセーブの展開(真相END?)を見ているので、猫が実は悪魔であるだとか。
ヴィオラ(最後のチェイスの化物の姿)はある種の自作自演であるとか。
そういう部分はすでに既知の状態で読んでいたところではあったんですが、ゲーム内で数行ずつ読める魔女の日記の内容の詳細を垣間見れる内容になるため、ゲーム内の奥行きを感じるにはいい本だったなという感じでした。

自分はゲームをプレイした時点の感想としてはどこまでもエレンに肩入れをしていました。
ので、プレイ時点においてもバッドエンドとも胸糞とも思っていなくて、彼女の立場立ち位置で見たとしたらこんなにめでたいことはないしヴィオラは自業自得でしょ。
くらいにしか思っていなかったタイプです。

よかったら上記感想ブログないしは配信アーカイブを見てもらえるとハッピー!

で、その上でよりエレン視点・思想の捕捉がされたので、やっぱりあの結末・着地が小気味よかったんじゃないかな~と思っています。
やってることは全然最悪なんですけども。
生まれ持った病気で疎まれていた子供が親からもないがしろにされて追い詰められた結果悪魔にそそのかされて道を踏み外してしまうこと、を誰が責められようか、という話です。
彼女をたしなめて飛べるべきであった大人は存在せず、むしろ彼女を追い詰めた張本人たちな訳です。

加えて、家を悪魔に与えられるまでゲームをしていた際に想像をしていなかったほどにエレンは無知だったわけです。
紅茶もケーキも知らない、読み書きもできない。
スラム街でまともな教育も受けず外と接することもなく家の中に閉じ込められていたに等しいわけですから。
母の心情を賢明に察そうとし続けていたエレンの思考自体は聡明そうに読み取れていた分それは結構なギャップだったわけですが。
地頭は悪くないけれどもその頭に教養も善悪も与えられていなかったわけで、それは魔女として動き始めてしまったら倫理の箍なんて存在しないよな…。

問題点(好きポイント)
その中で、この作品で一番の問題って、少女が両親を殺したわけでもなく、何人も人間を殺した(家に食べさせた)がことでもなく、一人の少女を裏切り陥れたことでもなく、父親に歪んだ愛欲を抱いていることなんだよな。

ゲームをしていたときも『愛されてあげるし”愛してあげる”』と言っていたことがめちゃめちゃ引っかかっていたんですよね。
ただ、まさかここに親近相関要素が加えられるわけない、自分の心が歪んで汚れてるだけだわ、わはは!!と思っていたんですよ。

めちゃめちゃずっと『父親への愛』を拗らせている、このエレンとか言う女。
もとはと言えば両親から愛情が注がれなかったことで歪んでしまったものだとは思ってるんですけど。
両親に愛されたい、母親からは愛情(?)を注がれているが父親は自分を無視している、父から愛される母親が羨ましい…ここまではまぁ正常な子どもの感情だと思うんですけども。
母と同じように父からも愛されたい、を拗らせて歪んだ結果そういう思想になってしまうものかぁ、そうかぁ、そうだよなぁ(そうかなぁ)

それを踏まえて、物語の外側(今後)のことを考えてやっとこの作品のエグさがわかってくるわけで。

健康な少女と体を交換する前に、何もしなくても死ぬ寸前の自分の足を切り落とし、目玉をくり抜き、交換したあと喉を焼き、足も視界も声も奪ったことも。
その彼女が絶望しながら実の父親に殺されることで末路を迎えることも。
それを見届けた魔女が無邪気に微笑むことでもなく。
森から返ってきた娘に身体関係を迫られる父親、なんだよな…笑
それは本の末尾にある猫の独り言でも触れられている話なんですけども。

体に記憶が残っているのでしばらくはごまかしごまかしなりすますことはできるだろうけれど、いずれはバレる入れ替わりであり、エレンは仮初の家族を手に入れたもののバレた後はもしかしたら普通に殺されるなり何なりするかも知れない。
次に悲惨な目にあってももうその彼女に興味はもてないかも、と悪魔も言っている以上今度こそ彼女に差し伸べられる手はなく、無為に犠牲を生んだだけの愚か者に成り果てるのである。

『父親』は実の娘(の体をした別人)に迫られ、真実を知った際には最後に手を下したのは自分であると知り絶望するのだろう。
もしかしたら命を立つこともあるかも知れない。

ヴィオラは言わずもがな既に死んでいるわけですが。

奥行きを分かると誰も幸せになれない、ゲームでエレンに胸糞を抱いた皆さん、ノベライズを読みましょう。溜飲が降ります、多分。

僕は自業自得で愚かな女がすごく好きなのでゲームプレイの後味としてエレンに肩入れしておいたうえでノベライズを読んで両手を叩いて喜んでいましたが。

本当の問題点
この作品で一番の悪の根源であるくせに一番報われているのがエレンの父親であること、世界って終わってるなって感じがある。

彼がエレンをきちんと直視していれば彼女はこんな拗らせ方をしなかった。
母親が出ていっても父子家庭として暮らすことができたかも知れない。
その癖、いつまでも盲目に愛していた女が自分を捨てる前に娘が彼女を殺すことで自分から離れていくことはなく、その後娘に自分も殺されることで最愛の女のそばで死ぬことができたわけで。ズルい人生だ。

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